小学生時代から「ゆる体操」に親しむとどうなるのか?(7) ~「神楽坂悠真塾」の挑戦~

学年があがる中で進学塾に通う・・・等の理由で
悠真塾の会員は段々減少していきましたが、
そのような中、
週3回以上のコンスタントなペースで3年以上、
悠真塾に通ってくれている高学年の会員が2名
います。

今回はこの2人の様子を、それぞれのプライバ
シーに十分配慮しながらご紹介しつつ、
本連載のテーマである

小学生時代から「ゆる体操」に親しむとどうなるのか?

について考察していきたいと思います。

まず、この2人には外見上共通する特徴がありまし
て、それは、

「立ち姿」が良い

ということです。

「ゆる体操」のトレーニングをある程度積んだ方な
らお分かりだと思うのですが、
「立ち姿」には、その人の本質力(悠真塾ではこれ
を、一般の方に理解されやすい様に「根本のチ
カラ」と呼んでいます)の段階がそのまま反映され
ます。

そして、その本質力の表れである「立ち姿」が良く
なってきていると、たいていその方の取り組んで
いる具体的な種目でも成果があがってきている

・・・ということが、大人の方を対象とした「ゆる
体操」指導の現場では常識となっています。

例えば、以前このメルマガでもご紹介したことがあ
りますが、私のオンラインレッスンを受講されて
いる、あるアスリートの方の「立ち姿」が急速に良
くなったことを感じたため、さりげなく

「ここのところ立ち方がとても良くなって来てます
が、試合でも成果が出ているでしょう・・・?」

と話を振ってみたところ

「実は・・・」

と前置きをした後、想像していた状況変化を報告し
てくれました。

曰く、所属チームの試合でのパフォーマンスが上る
中、その活躍に目をつけた国内最高峰のチームか
ら入団のオファーが来た、とのことで、

現在その方はそれを機に拠点を移し、その強豪チー
ムの一員としてプレーを続けています。

この「立ち姿」が本質力の表れであること。
また、実はこの本質力の高さが具体的なパフォーマ
ンスの高さを決定する非常に大きな要因になること
は、大人でも子どもでも同様ですので、

私はこの「立ち姿の変化」を、悠真塾の子ども達の
成長を測る重要なバロメーターとしています。

ではこの、「立ち姿が良くなった」2人に、
どのような具体的成果が出ているかを以下、
支障のない範囲でご紹介させていただきます。

まず、学校での学業の成績は2人ともかなり上位です。
「トップクラス」と言って差し支えないと思います。

それも、国語・算数・理科・社会・・・といった教
科のみでなく、図工や音楽、体育といった実
技科目も偏りなく、良くできるようです。

2人とも最初から今ほど成績が良かったわけではな
く、中学年から高学年に上がるこの1~2年で伸び
た印象です。

次に運動に関して。

2人とも、もともと「運動神経が良いタイプ」という
訳ではなかったのですが、こちらも学業の面と同じく、
中学年から高学年に上がる中で年々ジワジワと
伸び、全体として学年トップとまではいかないものの
運動が得意な上位レベルに至っています。

運動ではそれぞれ、特に優れた「一芸」を持ってい
て、

1人は「ソフトボール投げ」が、そしてもう1人は
「長座体前屈」が、それぞれスポーツテストで学年
1位の記録だったようです。

因みに「ソフトボール投げ」が得意な子どもが通う
小学校には、地区大会で度々優勝する強豪野球
チームがありますが、この子はそのチームに
入っていないばかりか野球をやったこともなく、
悠真塾でも特にそのような運動を強化してい
るわけではありません。

そのような中、この子が学年1番になったことはと
ても興味深いことです。

「長座体前屈」が得意な子どもはからだを動かすこ
とも好きな子ですが、それ以上に楽器演奏や絵画な
ど芸術分野への関心が高いようで、学校内外の様々
な機会で活躍しているようです。

一方、面白いことにそんな2人の行動特性はまさ
しく対照的です。

「ソフトボール」が得意な子どもは

「決まった目標に対して脇目もふらず最短距離で
進む」

タイプで、何事も行動が早く、自ら定めた日々のル
ーチンを一つ一つ確実に消化していく、
例えるならば野球のイチロー選手を思い起こすよ
うな行動特性をもっています。

一方、「長座体前屈」が得意な子どもは

身の回りの様々な事物に対し、常に興味・関心のア
ンテナが張りめぐらされている

ようなタイプで、「楽しい」「面白い」「好き」
が行動の基本原則になっているように見
受けられます。

勉強も、個人的な興味・関心の延長で、基本的に楽
しく取り組んでいるようです。

「ゆる体操」の理論的バックボーンのひとつである
「身体意識理論」の考え方では、

対象に対して一直線に突き抜けるようなライン状の
身体意識である

「レーザー」

が発達した人は、目標に向かってぶれずにまっす
ぐ進むような行動をとる傾向があり、

一方、対象に対して放物線を描いて結びつくよう
な身体意識である

「リバース」

が発達した人は、人や物事に対して親和的につな
がり合い、ポジティブな気の交換を繰り返す中で
自らのエネルギーも高めていくような傾向がある、

とされています。

私が推察するところでは、

「ソフトボール」が得意な子どもはもともと
「レーザー」が、
「長座体前屈」が得意な子どもはもともと
「リバース」が育ちやすい特性(持ち味)を
もっていたが、

「ゆる体操」に定期的・継続的に取り組むことによ
ってその持ち味が大きく育ち、開花したのではな
いか、と思われます。

そう考えると、野球をやったことのない子が並み居
る強豪野球チームのメンバーを抑え、ソフトボール
投げで学年一位になったという、ちょっと驚くよう
な出来事が起こった背景も想像することができま
す。

私の推論が正しければ、
「ゆる体操」を実践することで図らずも、

「一人ひとりの個性を伸ばす」

という、教育のひとつの理想が実現されたと捉える
ことができますが、

さらに今後を予測すると、もしも2人がこのままよ
り本格的に「ゆる体操」のトレーニングに取り組ん
で行くとすると、

2人の「持ち味」が更に大きく成長するとともに、
それぞれにとって現在不足している身体意識も発達
し、全体的にスケール感を増しながら、かつ、人とし
てより調和の取れた方向で成長をしていく

・・・と考えられます。

既にご紹介した通り、2016年の「ゆる体操小学
生クラス」開校時、私はHP上に

「小学生がゆる体操に取り組んだ場合、
このようなことが期待される」

といった内容の文章を投稿しました。

神楽坂ゆる体操教室・小学生クラス開講にあたって・・・(2016年7月記)

また、2018年の悠真塾開校時には、教室のパン
フやHP上で、

「小学生がゆる体操に取り組むことによって
期待される主な効果」

について、当時の仮説に基づいて以下のように紹
介しました。

●「疲れ」や「ストレス」を取り除くことで、「意
欲」と「集中力」を高める。

●優れたからだの遣い方を身につけることで、スポ
ーツやダンス・音楽等の上達を飛躍的に高める。

●強い軸(センター)が育つ中で、困難にもまっす
ぐに立ち向かい、物事に粘り強く取り組む強い
精神力が身につく。

●自身の“からだの声”を聞く習慣を身につける中
で、豊かな感性と思いやりの心が育つ。

こうした「仮説」は、約20名の小学生たちとの
4年半に渡る実践活動を経て、
全て「事実」であったと、少なくとも私の中では自
信と信念をもって語れる段階に入りました。

そして最後に、
これは特に強調したいことなのですが、

当初の私の仮説や、本日の記事でご紹介をさせて
いただいた

「○○ができるようになる」

といった、「能力の向上」効果以上にお伝えしたい
「ゆる体操」の誇るべき効果は、

小学生の毎日が、「快適」になる

ということです。

悠真塾で「ゆる体操」に取り組み続けている子ど
もたちは皆、明るく元気に小学生としての毎日を
過ごしています。

そして皆、素直で心優しい人間に育っています。

これはなかなか客観的なデータと合わせてお伝えす
るのが難しい事ですが、

私が、子どもの「能力の向上」以上に重視している
観点についての効果として、胸を張ってご報告した
いと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、前号でお伝えをした通り、神楽坂悠真塾は
現在、一人一人の子どもたちとじっくり向かい合
うため、少人数制を運営方針としており、
現在、新規会員の募集を行っておりません。

将来的にはオンライン形式で多くの子どもたち
に悠真塾が理想とする教育を受けてもらえる体
制を作りたいと思い、
その間、主に学習プログラムの開発に取り組ん
でいます。

でも、この悠真塾の新形態事業が立ち上がるま
での間にも当然のことながら、子どもたちはどん
どん成長していきます。

この期間内に、何らかの方法で子どもたちに
「ゆる体操」に親しんでもらうこと
はできないか・・・?

ということで今回、「神楽坂ゆる体操教室」の新
しい受講形態として、

親御様お一人分のご受講費で小学生以下のお
子様も自由にレッスンに参加していただける

「ゆる体操オンライン親子受講」

を始めることといたしました。

次回はこの新制度について詳しくご紹介し
この連載を終了させていただきたいと考え
ています。

<以下、(8)につづく>

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